代謝や体温を上げることは、免疫力を上げることにつながります。
免疫細胞のなかには、異物が入り込んだときに抗体を作るよう指令を出すT細胞と、
T細胞の指令を受けて抗体を作り出すB細胞というリンパ球が存在するのですが、
リンパ球は体温が上がると増えて活発化する性質があるためです。
免疫細胞が正常に働ける体温は36.5℃程度で、そこから体温が1℃下がると
免疫力が30%ほど下がり、1℃上がると免疫力が最大5~6倍ほど上がる
といわれています。風邪などをひいたときに熱が出るのは、
体が体温を上げることで免疫細胞を活発化させ、
病原菌を退治しようとしているからなのです。
また、体温が上がると副交感神経という、心拍数や血圧を下げる働きがある神経が
優位になって体がリラックスするため、ストレスの軽減にもつながります。
1日10分程度でよいので、少し汗をかくくらいの運動をしたり、
40度くらいのお風呂につかったりしてみましょう。
②質の良い睡眠をとる「質の良い睡眠」
免疫力を上げるには、質の良い睡眠をとることも重要です。
睡眠中は副交感神経が優位になり、心も体も緊張状態から
解き放たれてリラックスするため、免疫細胞が非常に活発になります。
質の良い睡眠とは、「途中で目覚めることなく朝まで安眠できる」
「目覚めがよく、起きてすぐに動ける」「日中に眠気が出ない」
などの条件を満たす睡眠です。質の良い睡眠をとるには、
以下のようなことを心がけましょう。
- 毎日同じ時間に目覚め、同じ時間に寝る
- 朝日を浴びる
- 朝食をしっかり取る
- 寝る2~3時間前に入浴を済ませる
- 寝る直前に食べない
- 寝る前にTVやスマートフォンを見るのをやめる
- 睡眠時は室内の温度や湿度を快適に保つ
- また、ぐっすりと眠るためには副交感神経が優位になる必要がありますが、ストレスを感じると体を覚醒させる交感神経が優位になってしまうため、ストレスをためないことも大切です。
③食事に気を配り腸内環境を整える
「栄養バランスのとれた食事」
免疫力を上げるには、食事に気を配って腸内環境を整えることも非常に重要です。
腸内には全体の約6~7割の免疫細胞が存在するほか、
多数の善玉菌、悪玉菌、日和見菌も存在しています。
- 善玉菌:ビフィズス菌など、悪玉菌の侵入や増殖を防ぎ、腸の運動を促す菌
- 悪玉菌:ウェルシュ菌など、腸内で有害物質を作り出し、お腹の調子を悪くする菌
- 日和見菌:善玉菌と悪玉菌のうち、数が多いほうの味方につく菌
善玉菌は免疫細胞と協力して悪玉菌の侵入・増殖を防ぎ、有害物質を体外に排出する
サポートしているため、善玉菌が多いと免疫力が上がります。
さらに善玉菌が増えると日和見菌が善玉菌の味方につくため、
免疫細胞のサポーターが増え、免疫細胞がより一層活発に働けるようになるのです。
しかし、善玉菌が減って悪玉菌が増殖し、さらに日和見菌が悪玉菌の味方につき始めると、
免疫細胞のサポーターが少なくなるので免疫力が落ちてしまいます。
善玉菌が減ってしまう原因は加齢やストレス、抗生物質の服用などいろいろありますが、
食生活も大きく影響します。
そのため、腸内環境を整えて免疫力を上げるには、
免疫細胞や善玉菌がよろこぶ栄養素を十分に摂取することが大切です。
免疫力を上げる栄養素・食材
免疫細胞や善玉菌を活発化させ、免疫力を上げる栄養素は、ビタミン(B、C、A、E)、ミネラル、タンパク質などです。これらの栄養素が豊富な食材には、以下のようなものがあります。
- ビタミンB:卵、納豆、乳製品、レバーなど
- ビタミンC:柑橘類、野菜など
- ビタミンA:卵、チーズ、緑黄色野菜など
- ビタミンE:ナッツ類、かぼちゃ、アボカドなど
- ミネラル:するめ、鰹節、牡蠣、ココアなど
- タンパク質:卵、乳製品、肉類、魚介類、大豆など
④よく笑う
免疫力を上げるための1番簡単な方法は、よく笑うことです。
笑うと副交感神経が優位になって体がリラックスしますし、
ストレス解消にも役立ちます。
また、IgA抗体という体内に侵入してきた異物にくっついて無力化する
免疫物質があるのですが、笑うと体内のIgA濃度が上昇し、
免疫を高めるという研究結果もあります。
作り笑いでもIgA濃度が上昇するといわれているので、
ストレスがたまっていたり、体調が悪かったりして心から笑えないときは、
笑顔だけでも作ってみてくださいね。