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枯れない花~鈴木大輝のパスセンター生活を振り返って~ 第八章 歩き続けた先に
皆さん、こんにちは。支援員の眞部です。
今日のお天気は、いまひとつパッとしませんね。
でも、パスセンターの真正面の窓からは、珍しく、夏の富士
山がクッキリと見えていますよ。さすがにこの時期は雪を被
っていないので、山肌の色が真っ黒クロスケですけどね!
さて、お待たせしました。いや、お待たせしすぎたのかもし
れません! 卒業生の小説をお楽しみ下さい!!
第八章 歩き続けた先に
パスセンターの利用期限が残り一か月を切ろうとしていた頃、
突然切り出された。
「職場実習をやってみないか」
私はすぐにうなずいたものの、内心は複雑だった。
何も出来ない私が、今更実習をしてどうなるのかと。流れで
了承してしまったと、少しの後悔があった。だが、断るだけ
の理由もなく、とにかくやるだけはやろうと覚悟を決めた。
実習の担当者は、すごくエネルギッシュな女性だった。若干
私が押され気味な部分もあったが、合わない人ではないと感
じていた。
肝心の業務は、Excelの入力、印鑑押し、管理票の作成といっ
た自信のない私でもこなせるような業務を回していただけた。
そして、実習の振り返りをした。
担当者からは、きちんと業務をこなせていたと評価された。
「応募してみますか?」
そう聞かれた時に、私は言葉に窮した。同じことを繰返すだ
けだと諦めていた自分と、ここでなら続けられるかもしれな
いと希望を感じた自分の板挟みになっていた。
結局、その場では結論を出せなかった。正直な話、辞退した
い思いの方が強かった。
実習の担当職員は、そんな私に一つ話をしてくれた。
「どんな決断をするにしろ、自分の価値基準はフラットにし
て考えた方が良い」
この話を聞いたとき、言葉が私の中に溶け込んでいく感覚が
あった。
確かに、私は自分の決めた価値基準にとらわれていた。出来
たことがあっても、自分の中で出来ていないと思えば出来な
かったことに分類していた。何より、ずっと苦しかった。
その話を聞いても、迷った。私が働くことで、迷惑をかけな
いものかと。
家に帰り、家族にも思いを打ち明けた。話をした後、母はこ
う言っていた。
「迷っているのなら、やってみた方がいいと思う」
母の言葉を聞いて、迷っているなりではあったが、答えを出
した。
私は急ピッチで応募書類を作った。途中、全く書けなくなる
ほど思い悩んで、あきらめかけたこともあった。それでも、
支援員の力を借りながら、期限ぎりぎりで書類を完成させ、
その日のうちに応募先へ届けた。
面接練習は慣れたもので、普通に話は出来るようになって
いた。何度も面接を受けたおかげだったのかもしれない。
そして、面接当日。
前日までは雨が降ると思っていたが、天気は晴れた。
日ごろ気になっていたWBCも日本が優勝し、晴れやかな気
持ちで会場に向かった。
面接の際はかなり緊張していたが、面接官がすごく気さく
な人だったのもあり、次第にいつもの自分の調子で話せる
ようになっていた。
面接が終わった後は、すごく清々しい気持ちになった。こ
れで落ちても悔いはないと思える内容だった。
面接の3日後、心理学講座の受講中に先方から電話がかかっ
てきた。
「ぜひ、一緒に働きたいと思っています」
私は講座が終わった後、心の底から喜びを叫んだ。
さて、次回いよいよ最終回となります。
待っていて下さいね。お楽しみに!
パスセンター東戸塚にぜひ一度見学にいらしてみませんか?
支援員一同心からお待ちしています。
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パスセンター東戸塚